2020 年 19 巻 4 号 p. 257-262
50歳,男性。睡眠障害に対してモダフィニル(モディオダール○R ),フルニトラゼパム(サイレース○R ),クロルプロマジン塩酸塩(コントミン糖衣錠○R )の内服を開始し,約 3 週間後に発熱,胆汁うっ滞型の肝障害が出現した。内服薬を中止したが,肝障害が増悪し,皮疹も出現したためステロイドハーフパルス療法を施行された。さらに後療法としてプレドニゾロンを内服していたが肝障害が遷延し,皮疹は寛解と増悪を繰り返した。経過中にヒトヘルペスウイルス 6 とサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化を認め,CMV による皮膚潰瘍が出現した。ニューモシスチス肺炎のため発症13 週目に呼吸状態が悪化し発症16週目に死亡した。薬剤性過敏症症候群による致死的合併症として,CMV 感染症のみならずニューモシスチス肺炎も念頭におく必要があると考えられた。 (皮膚の科学,19 : 257-262, 2020)