肺癌
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症例
診断に難渋した肺腺癌(膠様腺癌)の1例
増村 京子片岡 和彦藤原 俊哉松浦 求樹妹尾 紀具
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 48 巻 1 号 p. 62-67

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抄録
背景.膠様(コロイド)腺癌は,非常に稀な腫瘍である.症例.71歳女性.健診にて胸部X線写真上の異常を指摘された.CTにて右下葉に8 cm径の限局性浸潤影が認められたため,当院に紹介された.FDG-PETにて,病変部に一致したFDGの集積がみられず,経過観察された.11ヶ月後の再検CTでは変化なかったものの,悪性病変を否定できないためCTガイド下生検を施行したが,確定診断に至る組織が採取できなかった.診断・治療目的で手術を行った.術中迅速組織診にて膠様(コロイド)腺癌と診断されたため,右下葉切除とリンパ節郭清を行った.病理診断は,膠様(コロイド)腺癌pT2N0M0,Stage IBであった.結論.膠様(コロイド)腺癌は腺癌の特殊型の一つに分類されており,非常に稀である.多量の粘液貯留の中に腫瘍細胞が少量浮遊する特徴的な腺癌であり,そのためにPET偽陰性を呈したと考えられた.
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© 2008 日本肺癌学会
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