肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
上皮成分が高悪性度胎児肺型腺癌(H-FLAC)であった巨大肺癌肉腫の1治験例
神田 裕史岡村 光英良河 光一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 48 巻 6 号 p. 709-714

詳細
抄録

背景.肺癌肉腫は非常に稀な肺悪性腫瘍である.その術前診断は困難で,確立された化学療法もない.症例.69歳男性.労作時呼吸困難で近医受診し,左気胸,胸水貯留の診断で胸腔ドレナージを受けるも,胸部CTスキャンにて巨大な腫瘤像を認めたため,当院転院となる.FDG-PETにて高集積を示した.経皮的針生検では確定診断を得られず,腫瘍が急速に増大したため,救命目的で手術を施行した.術後病理診断にて,肺癌肉腫と診断され,その上皮成分は高悪性度胎児肺型腺癌(H-FLAC)であった.一旦は退院するも,術後第81病日に残存腫瘍増大にて死亡した.結論.本邦において,本症例と同様の症例報告はない.また,術後の病理診断の際,高悪性度胎児肺型腺癌の確定診断にβ-cateninによる免疫染色が有用であった.本症の術前診断は困難で,予後は悪く,診断法の検討と化学療法の確立が必要である.

著者関連情報
© 2008 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top