肺癌
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症例
左肺一側無気肺を呈し左肺摘除術を行ったmucoepidermoid carcinomaの1例
川久保 尚徳加藤 雅人松本 耕太郎綿屋 洋鶴田 伸子樋口 和行
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2009 年 49 巻 3 号 p. 317-321

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抄録

背景.Mucoepidermoid carcinomaは気管支腺由来の腫瘍である気管支腺腫に分類され,全肺癌の0.1%程度である.症例.68歳,男性,呼吸困難感を主訴に当院救急外来に救急搬送.胸部X線写真上,左肺の透過性がびまん性に低下しており,肺換気血流不均等の状態と考え,挿管下にICUで人工呼吸管理を行った.気管支鏡検査で左主気管支に気管支を閉塞する白色の腫瘍を認め,経気管支肺生検で扁平上皮癌と診断された.呼吸状態が改善したのち,挿管4日目に抜管した.全身精査後,左肺摘除術を施行した.左主気管支を閉塞する大きさ31×26 mmの腫瘍であり,組織学的にmucoepidermoid carcinomaの診断であった.結論.Mucoepidermoid carcinomaは気管支腺由来の腫瘍である気管支腺腫に分類され,その組織学的特徴,頻度から術前に確定診断をつけるのは困難である.一般的にmucoepidermoid carcinomaの予後は良好とされているが,全体の約20%に悪性度の高いhigh grade malignantなものがあり,術後病理検査でhigh grade malignancyが疑われる場合には慎重な経過観察が必要と考えられる.

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© 2009 日本肺癌学会
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