肺癌
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症例
原発性肺癌に膵腫瘍を合併した2剖検例
島津 哲子吉田 憲生宮沢 亜矢子岡田 木綿鈴木 嘉洋松山 恭士
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2011 年 51 巻 6 号 p. 701-706

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抄録

背景.肺癌に膵腫瘍を併発した場合,膵癌との重複癌か,転移性膵腫瘍かの診断は極めて困難である.症例1.69歳,男性.2008年10月胸部X線異常で他院受診.胸部CT,気管支鏡下肺生検を行い,肺腺癌と診断した.12月当院へ紹介され,化学放射線療法を開始した.2009年4月のFDG-PET/CTにて,膵尾部に集積を認めたが,画像検索では原発性膵癌か転移性膵腫瘍か鑑別が困難であったため,ジェムシタビンやTS-1®での治療を施行した.その後閉塞性黄疸を発症し,病状悪化にて2010年4月に死亡した.病理解剖にて肺癌と膵癌の重複癌と診断した.症例2.83歳,男性.2009年10月,胸部X線異常影を指摘され当院受診.胸部CT,気管支鏡下肺生検にて肺扁平上皮癌と診断した.緩和治療を中心としていたが,2010年5月腹部CTにて膵腫瘍の出現を認めた.同時に縦隔リンパ節転移による食道通過障害を併発し,病状悪化にて同年9月に死亡した.病理解剖にて肺癌の膵転移と診断した.結論.今回,肺癌と膵癌の重複癌の症例と,肺癌からの転移性膵腫瘍の2症例の剖検を経験することができた.肺癌に膵腫瘍を併発した場合は,どちらの可能性も考慮しながら治療を行う必要がある.

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© 2011 日本肺癌学会
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