肺癌
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症例
初回手術21年後に肺転移性再発した良性孤立性線維性腫瘍の1例
太田 英樹河合 秀樹
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2011 年 51 巻 6 号 p. 724-729

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抄録

背景.良性孤立性線維性腫瘍の術後肺転移再発はまれである.症例.75歳女性.1984年に右肺臓側胸膜由来良性孤立性線維性腫瘍の切除術を受けた.1994年に局所再発の切除術を受け,再発腫瘍は組織学的に良性と診断された.2005年より胸部X線写真で増大傾向のある左肺腫瘤を指摘され,2007年に当院に紹介された.腫瘤はCTとMRIで内部構造が不均一な境界明瞭の肺内腫瘍として描出された.肺楔状切除術を行い,えられた切除標本の組織像は前2回の切除標本と類似していたが,核分裂像とMIB-1陽性率の増加が認められた.以上より,本例を組織学的に悪性転化した術後肺転移性再発と診断した.術後4年経過するも再発は認められていない.結語.初回手術から21年後に転移性肺腫瘍として再発した,きわめてまれな経過をたどった良性孤立性線維性腫瘍の1例を経験した.悪性転化しているため,今後も厳重な経過観察が必要である.

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© 2011 日本肺癌学会
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