肺癌
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原著
肺癌における癌マーカーとしての尿中ジアセチルスペルミンの臨床的意義
加藤 雅人大西 秀哉鈴木 宏往鶴田 伸子樋口 和行片野 光男
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2011 年 51 巻 7 号 p. 787-792

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抄録

目的.尿中ジアセチルスペルミン(DiAcSpm)の肺癌における腫瘍マーカーとしての有用性を検討する.対象と方法.2003年8月より2010年9月までに当院で治療を受けた肺癌の患者308例(非小細胞癌296例,小細胞癌12例)を対象とし,尿中DiAcSpmを測定した.結果.尿中DiAcSpmは肺癌308例中143例で陽性(46.4%)を示し,血清中のCEAの32.7%,CYFRA21-1の23.7%より有意に高い敏感度を示した.尿中DiAcSpmの腫瘍マーカーとしての特異度(90.6%)は,CEA(87.5%),CYFRA21-1(93.8%)とほぼ同じであった.肺癌の進行度別に各腫瘍マーカーを測定すると,進行度とともに腫瘍マーカーの陽性率は増加したが,尿中DiAcSpmはStage IA,IBにおいてCYFRA21-1と比較し,またStage IIIBおよびIVにおいてCEAと比較し,有意に高い陽性率を示した.特に,Stage IAおよびIB患者における尿中DiAcSpm陽性率は,各々25.5%および42.6%であり,同Stageの患者のCYFRA21-1陽性率(5.4%および18.5%)と比較し,有意に高い陽性率を示した.組織型別では尿中DiAcSpmは,腺癌(39.5%)でCYFRA21-1(17.3%)と比較し,また扁平上皮癌(62.0%)でCEA(33.3%)およびSCC抗原(49.0%)と比較し有意に高い陽性率を示した.結論.尿中DiAcSpmは肺癌の腫瘍マーカーとして高い敏感度を示し,肺癌の腫瘍マーカーとして有用であることが示唆された.

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© 2011 日本肺癌学会
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