肺癌
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症例
局所再発を繰り返し,外科切除にて混合型小細胞肺癌と診断した1例
立原 素子渡邉 香奈横内 浩鈴木 弘行石田 卓棟方 充
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2011 年 51 巻 7 号 p. 820-824

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抄録

背景.小細胞肺癌の特殊型に混合型小細胞肺癌がある.長期にわたる小細胞肺癌の治療経過で,繰り返す局所再発・再燃に対し,外科切除を施行し混合型小細胞肺癌と診断した症例を経験したため報告する.症例.67歳男性.左S6に20 mm大の結節がみられ,気管支鏡検査を施行.キュレットによる細胞診で小細胞肺癌と診断した.全身精査を行い,原発性小細胞肺癌(cT1N2M0,IIIA)と診断,同時放射線化学療法(シスプラチン+エトポシド+放射線治療40 Gy/20 Fr)を施行後,カルボプラチン+エトポシドを4コース追加しCRを得た.その後2回にわたり,原発巣部位に一致し局所再発がみられたため,その度にカルボプラチン+エトポシドにて加療した.1度目の再発では化学療法により腫瘍は消失したが,2度目の再発時の治療効果はPRであった.しかし治療終了2ヶ月後に残存腫瘍の増大がみられた.FDG-PETを含めた再精査でリンパ節転移・遠隔転移を認めず,原発巣のみが毎回再発を繰り返したため,左下葉切除術を施行した.病理組織学的所見は,腺癌成分を含む混合型小細胞肺癌であった.術後化学療法としてアムルビシンを4コース施行した.現在,術後5年経過するが再発はみられていない.結論.小細胞肺癌は非小細胞肺癌成分を有する可能性があり,局所再発を繰り返す場合は,外科切除も選択の一つである.

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© 2011 日本肺癌学会
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