肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
胃転移を来した肺紡錘細胞癌の1剖検例
佐藤 未来若林 修荒谷 義和吉田 史彰地主 英世石舘 卓三
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2011 年 51 巻 7 号 p. 814-819

詳細
抄録

背景.肺紡錘細胞癌は紡錘形腫瘍細胞のみからなる低分化の非小細胞癌で稀である.また原発性肺癌の胃転移も稀とされる.症例.症例は65歳男性.咳・血痰が出現し当院入院.胸部CT上,右肺下葉の腫瘤影と縦隔浸潤像を認めた.気管支鏡下擦過細胞診により原発性肺癌(非小細胞癌,T4N2M0:stage IIIB)の診断で,化学療法cisplatin+vinorelbineを3クール施行したが腫瘍は増大.下部食道を狭窄し嚥下困難が出現したため食道ステントを留置.この時胃体部に粘膜下腫瘍様の隆起性病変及び潰瘍性病変を認めた.その後肺化膿症を発症し,入院より5カ月で永眠された.病理解剖にてcytokeratin 7,vimentinが陽性を示す紡錘形腫瘍細胞が肺及び胃に認められ,肺紡錘細胞癌及び胃転移と診断した.結論.胃転移を来した肺紡錘細胞癌の1例を報告した.肺紡錘細胞癌及び肺癌の胃転移は稀で予後不良である.今後さらなる症例の蓄積により本疾患の理解や,より有効な治療法確立が必要である.

著者関連情報
© 2011 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top