肺癌
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原著
上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者における耐性獲得時のT790M変異検索の有用性
磯部 和順秦 美暢佐藤 敬太佐野 剛杉野 圭史坂本 晋高井 雄二郎渋谷 和俊高木 啓吾本間 栄
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2012 年 52 巻 3 号 p. 279-283

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抄録

目的.上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)耐性獲得時のT790M変異検索の有用性を明らかにする.対象および方法.過去6年間に当センターで加療したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌患者93例中,初回EGFR-TKI耐性獲得後T790M変異を検索した16例を対象とし,患者背景,T790M変異検索の検体採取部位・方法,T790M変異の発現率,EGFR-TKI再投与の効果についてretrospectiveに検討した.結果.原発巣のEGFR遺伝子変異はG719Cが1例,G719C+L858Rが1例,exon 19 deletionが6例,L858Rが8例.T790M変異検索部位は頚部リンパ節,肺が4例,縦隔リンパ節,髄液が各1例,胸水が6例.T790M変異は6例(38%)に検出され,残り10例では耐性獲得前と同じEGFR遺伝子変異が確認された.EGFR-TKIの再投与は11例に施行され,T790M変異陰性例(n=8)は陽性例(n=3)に比べ有意に無増悪生存期間(PFS)が延長し,EGFR-TKI再投与はT790M変異陰性例に有効であった(PFS中央値:15.0ヶ月 vs. 1.0ヶ月,p=0.009).結語EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌におけるEGFR-TKI耐性獲得時のT790M変異検索は,EGFR-TKI再投与の適応を検討する際の患者選択として有用であることが示唆された.

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© 2012 日本肺癌学会
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