肺癌
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症例
肺小細胞癌による難治性抗利尿ホルモン不適合分泌症候群に対しトルバプタンが著効した1例
友松 克允小熊 剛友松 裕美浦野 哲哉浅野 浩一郎阿部 直
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2013 年 53 巻 1 号 p. 42-46

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抄録
背景.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)は,バソプレシンの分泌過剰により水利尿不全を惹起し,低Na血症を呈する疾患である.今回,我々は肺小細胞癌による難治性SIADHに対しバソプレシンV2受容体拮抗薬トルバプタンが著効した症例を経験したので報告する.症例.70歳男性.4ヶ月前より血痰と咳嗽を,1ヶ月前より食欲不振があり,近医を受診し肺小細胞癌と診断された.2週前より上大静脈症候群による労作時呼吸困難,顔面・上肢の浮腫,および低Na血症による傾眠傾向が出現し当院に紹介された.肺小細胞癌に対して化学療法(カルボプラチン+エトポシド)を開始するとともに,低Na血症はSIADHと診断し,飲水制限下に高張食塩水とフロセミドを約3週間投与したが十分な効果が得られず,傾眠傾向も持続した.そこでトルバプタン7.5 mgを追加投与したところ,開始2日目には傾眠傾向も消失し,以降血清Na値は安定して推移した.腫瘍の縮小が得られた現時点でもトルバプタンに依存した状態は続いているが,明らかな副作用はなく投与を継続できている.結論.肺小細胞癌による難治性SIADHに対してトルバプタンは有用と考えられた.
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© 2013 日本肺癌学会
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