抄録
背景.多発性骨髄腫は形質細胞由来の悪性疾患で,しばしば肋骨などに孤立性の腫瘍を形成して発見されるが,肺癌に合併する症例は少ない.我々は,右肋骨腫瘍を契機に右肺上葉にも腫瘤を指摘し,手術時に行った生検で肋骨形質細胞腫と診断した1例を経験したので報告する.症例.73歳男性.発熱を主訴に近医受診した際に胸部X線撮影で異常影を指摘され,当院紹介となった.以前には同病変は指摘されていなかった.胸部CTで右肺尖部に肺癌を疑う15 mmの結節と,右第5肋骨に6 cm大の腫瘤を認めた.PET-CTでは両病変に異常集積を認めた.患者の意向で局所麻酔下での生検は行わない方針となり,診断・治療目的に手術を施行した.術中針生検にて肺尖部腫瘤は腺癌,肋骨腫瘤は形質細胞腫疑いの診断を得た.肺癌に対して右上葉切除ND2a-1を施行し手術終了した.右上葉肺腺癌pT1aN0M0 stage IAで,肋骨腫瘤は病理組織診断で形質細胞腫と診断された.当院血液内科にて全身精査を行い,血清IgG λ型M蛋白発現と骨髄中形質細胞増多を認めたため症候性多発性骨髄腫と診断された.結論.原発性肺癌と多発性骨髄腫の重複例の診断の契機として,肋骨形質細胞腫を呈していた例は国内で他に報告例がないため,若干の文献的考察を加えて報告した.