2013 年 53 巻 2 号 p. 132-137
背景.局所進行非小細胞肺癌に対する外科治療の成績は決して良好なものではなく,種々の集学的治療による予後向上が試みられている.今回,我々は局所進行非小細胞肺癌に対して術前同時併用化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy:以下CCRT)を施行し,完全切除が可能となりEf3が得られた2例を経験したので報告する.症例1.50歳男性.左肺腺癌,cT4N2M0.CCRT後にPRが得られ,左上葉切除,肺動脈形成術にて完全切除し得た.症例2.49歳女性.右肺扁平上皮癌,cT3N1M0.CCRT後にPRが得られ右肺上葉切除,第2,3,4肋骨合併切除術にて完全切除し得た.2例とも組織学的に癌細胞を認めずEf3が得られた.また2例とも術後1年以上経過したが無再発生存中である.結論.S-1+CDDPを用いたCCRTは,局所進行非小細胞肺癌に対して有用な治療法となり得る可能性が示唆された.