2013 年 53 巻 2 号 p. 138-143
背景.上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺癌において,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)投与1年以内に耐性獲得することが知られている.症例.症例は70歳女性.2006年10月,胸部異常陰影を指摘され当科紹介受診.全身精査にて右下葉原発肺腺癌(T1aN0M1b BRA,Stage IV)およびEGFR遺伝子変異陽性(L858R)と診断された.2009年3月から4th lineでエルロチニブを投与した.その後,原発巣と脳転移巣は病勢制御されていたが,血清CEAの上昇と原発巣の再増大を認め,2011年8月にサルベージ目的で右下葉切除を行った.手術検体からT790Mを検出した.現在,術後15ヶ月担癌生存中である.結論.EGFR-TKI耐性獲得後にサルベージ手術が適応となる患者には,治療方法の選択肢の1つに考慮されるべきである.