抄録
背景.臨床上は良性腫瘍として扱うべきciliated muconodular papillary tumor(CMPT)は,線毛構造を有し,基底膜構造が保持されている点では良性腫瘍の特徴を持つが,肺胞置換性に増殖する点ではadenocarcinoma in situ(AIS)と特徴を共有するため,良悪性の鑑別に難渋する.症例.70歳女性.尿管癌術後のサーベイランスCTにて指摘された右肺下葉の腫瘍を,胸腔鏡下に部分切除した.肺胞上皮を置換する腫瘍性増殖の所見から,mucinous AISを思わせたが,追加検討によりCMPTと診断された.結論.基底細胞および線毛上皮細胞が保持され,核異型も目立たない点からCMPTの診断に至った.CMPTが末梢発生であれば適正な術式,すなわち肺部分切除術が行われ,mucinous AISとの鑑別は純粋に病理学上の問題で,臨床上は問題とならない.しかし,中枢発生した場合はover surgeryを回避しにくい問題を残すが,これはmucinous AISでも同様と考えられる.