抄録
背景.肺癌に膵腫瘍を併発した場合,肺癌の膵転移と原発性膵腫瘍との画像的鑑別は困難であるが,治療方針や予後が大きく異なる.症例.63歳,女性.2007年6月に肺腺癌で左下葉切除術を施行後,外来にて経過観察されていた.2012年1月に腹痛で消化器内科を受診し,肝胆道系酵素の上昇と,腹部エコーで胆管の拡張を伴い,膵頭部に約2 cmの腫瘍を認め,造影CTでは肝転移と腹部多発リンパ節転移を認めたため,膵癌が疑われた.中下部胆管にブラシ細胞診で悪性所見を認めなかった.超音波内視鏡下穿刺吸引(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;EUS-FNA)を行い,病理組織診にて肺癌の再発膵転移と診断された.肺腺癌に対して化学療法を施行し,部分奏効(partial response;PR)相当の縮小及び1年間の病勢制御が得られた.結論.肺癌症例に膵腫瘍が認められた場合は,積極的にEUS-FNAで生検を行い,病理組織診を行うべきである.