肺癌
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症例
肺多形癌からの転移性急速進行性歯肉腫瘍に放射線治療が奏効した1例
出口 秀治山口 絵美佐伯 祥小嶋 圭介一安 秀範興梠 博次
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2014 年 54 巻 7 号 p. 969-973

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抄録

背景.多形癌は,肺癌の組織型の1つで全肺悪性腫瘍の0.1~0.4%と非常に稀で,かつ治療抵抗性疾患である.また,口腔領域への転移性腫瘍の頻度は口腔内悪性腫瘍全体の1~3%と少ない.症例.76歳男性.右側上顎臼歯部歯肉の腫瘤のため当院歯科口腔外科に紹介となった.FDG-PET/CT検査にて,左肺下葉の結節影,腫大した左肺門・縦隔リンパ節に異常集積を認めた.原発性肺癌あるいは転移性肺腫瘍の疑いで当科紹介となり,縦隔リンパ節と歯肉腫瘍を生検し,肺多形癌と転移性歯肉腫瘍と診断した.転移性歯肉腫瘍は急速に増大し,顔面の変形を伴っていたため姑息的放射線治療を施行し,全身化学療法としてはweekly carboplatin+paclitaxelを併用した.転移性歯肉腫瘍は著明に縮小し顔面の変形も消失したが,原発巣を含む他病巣は改善なく増大し,治療開始後54日目に死亡した.結論.歯肉腫瘍は機能的にも美容的にもQOLを著しく低下させるため,その局所制御は重要であると考える.多形癌の転移性歯肉腫瘍の報告は少なく,放射線療法が奏効した貴重な症例として,文献的考察も含めて報告する.

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© 2014 日本肺癌学会
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