肺癌
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症例
アムルビシン治療による間質性肺炎の急性増悪を来した胸膜肥厚を主体とする小細胞肺癌の1例
佐伯 和彦中西 徳彦森高 智典井上 考司前田 智治
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 56 巻 5 号 p. 349-354

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抄録

背景.小細胞肺癌は,中枢型で予後の悪い腫瘍である.今回我々は,胸膜肥厚を主体とする小細胞肺癌でアムルビシン治療による間質性肺炎の急性増悪を来した症例を経験したので報告する.症例.62歳男性.2009年間質性肺炎の診断.2014年2月より発熱および咳嗽を主訴に受診し,胸部単純写真にて左上肺野胸膜肥厚を認めたために入院となった.CTガイド下生検の結果,小細胞癌と診断した.シスプラチン+VP-16 6コース終了後PRの診断であり経過観察されていた.10月上旬の外来時に発熱を認め,胸部単純写真にて再び左上肺野胸膜肥厚を認めた.2次化学療法としてアムルビシンを開始した.同月中旬に発熱し,胸部単純CTにてアムルビシンによる間質性肺炎の急性増悪としてステロイドパルス療法を施行した.アムルビシンによる間質性肺炎の急性増悪は軽快したが,原疾患の進行により永眠された.結論.胸膜沿いに急速進展する小細胞肺癌は,予後不良である.さらにその間質性肺炎合併症例に対しての化学療法は,間質性肺炎の急性増悪の可能性もあり,慎重に行うべきである.

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© 2016 日本肺癌学会
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