肺癌
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原著
非小細胞肺がんの免疫チェックポイント阻害薬における自己免疫関連有害事象と治療効果の関連についての検討
谷村 恵子山田 忠明千原 佑介久保田 豊塩津 伸介竹田 隆之山田 崇央平沼 修内野 順治髙山 浩一
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 59 巻 2 号 p. 128-136

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抄録

背景.進行非小細胞肺がん治療における免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)は標準治療のひとつであるが,稀に重篤な免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)が出現する.一方,irAEを発症した症例ではICIの良好な治療成績を示すことが報告されている.研究計画.2016年1月から2017年12月まで国内6施設でICI治療を行った非小細胞肺がん146例を対象に,irAEと治療効果との関連について後方視的に調査した.結果.irAE発症例は58例(39.7%),irAE発症群,非発症群の無増悪生存期間中央値はそれぞれ4.9ヶ月,2.1ヶ月(p=0.0178)と発症群で有意に延長した.奏効率や病勢制御率は,irAE発症群で有意に良好であった.irAE発症群では,全生存期間は有意に延長した.ICI開始後42日以降にirAEを発症した群は,より早期に発症した群と比較して無増悪生存期間および全生存期間が良好であった.結論.ICIによるirAE発症は治療効果や予後と関連するが,その発症時期が重要である.

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© 2019 日本肺癌学会
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