肺癌
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症例
薄壁空洞形成を経時的に追えた大腸癌肺転移の1例
鳥越 英次郎平野 豊鷲尾 一浩
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キーワード: 転移性肺癌, 空洞, 大腸癌
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 59 巻 2 号 p. 147-150

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抄録

背景.転移性肺腫瘍で空洞形成を伴うものは全体の4%と比較的稀である.空洞形成を伴う転移性腫瘍の臨床像については,空洞形成の機序等,不明なことが多い.今回,発生前からの経過をCT検査で詳細に観察し得た薄壁空洞性所見を呈した大腸癌肺転移の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例.症例は45歳男性.2014年3月に直腸癌(MP,N1,M0,Stage IIIA)に対して腹腔鏡下高位前方切除術が施行され,術後補助化学療法(Capecitabine)が6か月間行われた.直腸癌手術前のCTでは肺病変を認めなかったが,2015年3月のCT検査で左肺S10に直径4 mmの薄壁空洞病変を認めた.2018年3月には直径18 mmまで増大し,空洞壁の一部肥厚を認めたため当院紹介となった.胸腔鏡下左低区域切除術+ND1bを施行し,病理検査より直腸癌肺転移と診断された.CT所見の推移から腫瘍の細気管支浸潤によるチェックバルブ機構のため空洞形成がなされたと考えられた.結論.本症例は転移性肺腫瘍における空洞形成の機序を考える上で貴重な症例と考えられた.

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© 2019 日本肺癌学会
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