肺癌
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症例
オシメルチニブが効果を示した上皮成長因子受容体T790M遺伝子変異陽性小細胞肺癌の1例
松本 千晶田村 朋季川尻 智香西 達也工藤 健一郎久山 彰一
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 59 巻 2 号 p. 151-157

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抄録

背景.近年,小細胞肺癌においても上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR)遺伝子変異陽性症例が散見されるが,EGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor;TKI)の効果は症例により異なる.今回我々はEGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌に対してゲフィチニブ投与後にT790M変異を認め,かつオシメルチニブが効果を示した症例を経験したため報告する.症例.65歳女性,進展型小細胞肺癌(cT2aN0M1b Stage IVB)に一次治療でシスプラチン+エトポシド療法を施行した.増悪時に施行したマルチプレックス遺伝子診断薬による遺伝子解析でEGFR遺伝子変異が陽性であったため,ゲフィチニブを投与したところ,腫瘍の縮小を認めた.しかし3か月で増大したため,血漿検体でEGFR遺伝子変異検査を施行したところT790M変異を認めたためオシメルチニブを投与し,腫瘍の縮小を認めた.結論.EGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌におけるEGFR-TKIは,治療選択肢の一つとなる可能性が示唆された.

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© 2019 日本肺癌学会
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