肺癌
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症例
胸水貯留を契機に胸腔鏡検査で診断した胸膜原発と考えられたMALTリンパ腫の1例
近藤 祐介平岩 真一郎田﨑 厳中川 知己山田 俊介坂巻 文雄
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キーワード: MALTリンパ腫, 胸水, 胸腔鏡
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 60 巻 1 号 p. 54-59

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抄録

背景.原因不明の滲出性胸水の診断に胸腔鏡による観察および生検が有用である.滲出性胸水貯留の原因として悪性リンパ腫も挙げられる.症例.71歳男性.健康診断で胸部X線検査上,左側胸水貯留を指摘されて受診した.複数回の胸水検査では,リンパ球優位の滲出性胸水であり,胸水中ADA活性,細胞診を含む諸検査では原因を特定することができなかった.患者の希望で経過観察とされた.初診から約1年後に胸水の増加を認めたため,再度精査を行い,胸部CT,FDG-PET検査で胸骨後部および心嚢周囲の胸膜に腫瘍性病変の増大を認めた.胸腔鏡検査を行ったところ,薄茶色をした表面が平滑な比較的柔らかい腫瘍性病変を認めた.同部位から採取された検体でMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断された.結論.胸水貯留を契機とし,胸骨後部および心嚢周囲の壁側胸膜に認めたMALTリンパ腫の1例を報告した.診断には胸腔鏡による生検が有用であった.

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© 2020 日本肺癌学会
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