肺癌
Online ISSN : 1348-9992
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原著
患者・医師アンケートから浮き彫りになった,医師主導で行う就労を意識した肺癌マネージメントの重要性
池田 慧小澤 雄一原田 堅長谷川 一男清水 奈緒美関 孝子長谷川 好規光冨 徹哉
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キーワード: 肺癌, 就労, 薬物療法
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 60 巻 4 号 p. 319-329

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抄録

目的.日本肺癌学会が実施したアンケートから,肺癌治療と就労の両立の現状を把握し,医師が果たすべき役割を考察する.方法.肺癌患者と医師を対象にインターネット上でアンケートを実施した.結果.肺癌患者287人と医師381人から回答を得た.患者アンケートで治療開始前に就労状況や希望について『話し合ったことはない』が42.9%を占め,一方で『医師・医療者から質問があり医師を含め話し合った』は22.6%のみであった.患者の45.3%が治療開始後に休職・退職を余儀なくされ,退職理由は『治療の副作用・病気に伴う身体的な不調のため』と『職場に迷惑をかけることを懸念したため』が多かった.治療と就労の両立のため医師に最も希望することは『就労について相談する機会の増加』が最多で,次いで『有害事象の少ない治療選択肢の提示』が多かった.結論.今回のアンケートで,医師主導の就労を意識した肺癌マネージメントを行う重要性が浮き彫りになった.これからの肺癌診療に関わる医師は,患者の職業により関心を持って,自ら就労の話題を切り出し,知識を活かして各々にとっての最適な治療を模索していくことが求められる.

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© 2020 日本肺癌学会
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