肺癌
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症例
薄壁空洞形成の増大過程を4年間経過観察した原発性肺癌の1例
蜂須賀 康己藤岡 真治魚本 昌志
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 60 巻 4 号 p. 348-352

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抄録

背景.薄壁空洞形成を伴う原発性肺癌の報告は散見されるが,長期間にわたって空洞形成の過程を追えた症例は稀である.症例.症例は60歳代前半の男性.201X年に右急性膿胸の診断で当科へ入院した.初診時のCTで左下葉に径8 mmの小嚢胞を伴う,すりガラス状結節が指摘され,膿胸加療後もCTで経過観察した.4年間の観察で,同結節は薄壁空洞を形成しながら22 mmまで増大した.201X+4年,気管支内視鏡下の細胞診で悪性と診断し,左下葉切除術を施行した.病理組織診断結果は原発性肺腺癌であった.結論.長期経過観察によってCT上の薄壁空洞形成の増大過程を追跡し得た,原発性肺癌を経験した.

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© 2020 日本肺癌学会
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