肺癌
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症例
同時性多発線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍の1切除例
澤田 遥奈藤原 綾子安藤 性實宮本 智木村 剛小河原 光正森 清井上 敦夫栗山 啓子高見 康二
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2021 年 61 巻 3 号 p. 218-224

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抄録

背景.Ciliated muconodular papillary tumor(CMPT)は線毛細胞と杯細胞が乳頭状増殖を示す稀な腫瘍で,原発性肺腺癌との鑑別が困難なことがある.症例.60歳代,男性.腎癌術前の腹部CTで左肺S9に1.3 cm(充実成分径0.9 cm)大の部分充実型結節影を指摘.3年後の胸部CTで充実径の増大を認めた.18F-FDG-PET/CTではSUVmax 1.1と低値であった.原発性肺癌cT2a(PL1)N0M0 stage IBもしくは腎癌からの転移性肺腫瘍を疑い,手術の方針とした.手術は部分切除を先行し,術中迅速組織診で原発性肺腺癌と診断されたため,胸腔鏡下左肺下葉切除術を施行した.永久標本では,病巣は既存の肺胞上皮を置換するように立方~円柱状の上皮細胞が単層に分布し,気腔側に線毛を認めた.気腔に該当する部分には粘液の貯留が顕著であり,CMPTと診断された.また,術後標本で切除肺のS6に3 mm大の小結節を認め,同様の組織像を示しCMPTの多発病変と診断された.結語.術中に確定診断が困難であった,同一葉内の同時性多発CMPTの1例を報告する.

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© 2021 日本肺癌学会
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