肺癌
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総説
肺がんの全ゲノムシークエンス解析と臨床実装
河野 隆志
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 62 巻 1 号 p. 10-14

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抄録

肺がんはドライバー遺伝子変異などのコンパニオン診断など,すでにゲノム情報に基づいた個別化医療が行われているがんである.また標準治療終了後には,リキッドバイオプシー検査を含め,保険診療としてのがん遺伝子パネル検査を行い,新たな治療法を探すことも可能である.その一方で,肺がんを含めた多くの難治がんについて,全ゲノムシークエンス解析をがん診療に実装する動きが出てきている.患者から得られるがん組織試料に限りがあることや診療上必要となる遺伝子変化の情報が患者ごとに大きく異なることを考えると,解析対象遺伝子に制限のない全ゲノムシークエンス解析を実装することは理想的である.しかしながら,得られるゲノム情報は膨大であり,その処理のための資源・時間,そして検査としての質的保証の問題があり,現時点ですぐに医療実装できる段階ではない.そこで,がんの全ゲノムシークエンス解析をまずは研究として開始し,その結果を患者に還元するとともに研究・開発に活かすという,国家事業が開始されようとしている.

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© 2022 日本肺癌学会
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