肺癌
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症例
気道出血に対する姑息的手術と薬物療法により救命し得たBRAF陽性肺腺癌の1例
渡邉 菜摘杉野 圭史小野 紘貴安藤 真弘原口 秀司小林 美穂五十嵐 誠治坪井 永保
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2022 年 62 巻 5 号 p. 429-432

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抄録

背景.BRAF遺伝子変異は肺癌の稀なドライバー遺伝子変異である.症例.73歳.男性.X年4月より血痰が出現し,胸部X線で左下葉浸潤影が認められ細菌性肺炎として抗菌薬で加療されたが自覚症状,胸部CT所見ともに改善せず当院を受診.初診時に呼吸不全を合併しており,気管支鏡検査では左下葉支内腔に大量の出血を認めた.病理所見では腺癌と診断され,止血目的に左下葉切除術を施行したところ,呼吸不全は改善した.遺伝子検査の結果,BRAF V600E変異陽性であったため,dabrafenibとtrametinibを開始したところ残存腫瘍は著明に縮小した.結論.出血による呼吸不全を合併したBRAF V600E変異陽性肺腺癌に対する姑息的手術とdabrafenibとtrametinibの併用療法が奏効した症例を経験したので,報告する.

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© 2022 日本肺癌学会
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