肺癌
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症例
自然退縮が認められ,腫瘍随伴症候群として末梢血と胸水中の好酸球増多を伴った肺定型カルチノイド腫瘍の1例
丸田 竜介西山 直樹北野 正剛蝶名 林賢松本 崇平増尾 昌宏江花 弘基小林 亜紀尾辻 瑞人小林 正芳
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2022 年 62 巻 7 号 p. 1026-1032

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抄録

背景.肺定型カルチノイドの自然退縮やカルチノイド症候群以外の腫瘍随伴症候群の報告は少なく極めて稀である.症例.69歳男性.胸部異常陰影の精査で,右肺S5に結節影,右第8/9肋間とTh9~10近傍の壁側胸膜にそれぞれ結節影と腫瘤影を指摘された.3か月後のCTで傍脊柱の腫瘤影が自然退縮し,新たに右胸水が認められた.当院に紹介され,末梢血好酸球増多と好酸球性胸水が認められた.増大傾向を認めた右側胸壁の結節病変に対しCTガイド下針生検を行ったが検体量不足で確定診断が困難だった.その後,胸腔鏡下に肺部分切除と胸膜腫瘍切除を行い,神経内分泌マーカーが陽性となる細胞分裂像が乏しい腫瘍細胞を認め肺定型カルチノイド(pT1cN0M1a pstage IVA)と診断した.腫瘍切除後に末梢血好酸球増多は自然軽快し,右胸水の再貯留も見られなかった.進行期ではあったが,標的病変が消失したため厳重な経過観察を行っている.結論.自然退縮と腫瘍随伴症候群を伴った肺定型カルチノイド腫瘍の稀な1例を経験した.

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© 2022 日本肺癌学会
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