肺癌
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症例
アレクチニブによる間質性肺疾患後にブリグチニブを使用したALK融合遺伝子陽性肺腺癌の2症例
長久 裕太角 俊行関川 元基武田 和也松浦 啓吾渡辺 裕樹山田 裕一計良 淑子千葉 弘文
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2022 年 62 巻 7 号 p. 1038-1043

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抄録

背景.アレクチニブはALK融合遺伝子陽性肺腺癌に対して有効性や忍容性が高い薬剤であるが,有害事象の間質性肺疾患をきたした場合,治療を継続することができない.他に数種類の使用可能なALK阻害薬があるが,ブリグチニブは近年使用可能になったALK阻害薬である.アレクチニブによる間質性肺疾患後にブリグチニブで治療し得たという報告はなく,今回我々は2例を経験したため報告する.症例.2症例はいずれもALK融合遺伝子陽性肺腺癌であり,アレクチニブ開始後にそれぞれgrade 2とgrade 3の間質性肺疾患を認めた.ステロイドの全身投与で治療し間質性肺疾患の改善後にブリグチニブを開始したところ,1例では間質性肺疾患の再発なく抗腫瘍効果が得られた.高齢の1例では間質性肺疾患が再発したがブリグチニブの休薬のみで間質性肺疾患は軽快し,ブリグチニブを減量したところ間質性肺疾患の再発なく抗腫瘍効果が得られた.結論.アレクチニブによる間質性肺疾患発現例において,ブリグチニブへの変更は治療選択肢となり得る.しかしALK阻害薬に対する間質性肺疾患の既往がある患者の場合は注意深くフォローアップする必要がある.

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© 2022 日本肺癌学会
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