2022 年 62 巻 7 号 p. 971-974
近年,早期肺癌に対する5年以上の長期予後観察では,他病死(二次がん死+非がん死)が全死亡のかなりの割合を占めることが分かってきた.医療が進歩した現代において,もともと良好な長期予後を見込める早期肺癌においては,術後5年間の生存を達成することのみが目標とはならない.今後は他病死の詳細,すなわち二次がんによる死亡ではどのようながんに罹患し,どのような治療を受けたか,あるいは非がんによる死亡ではどのような疾患で死亡に至ったのか,等をより長期にわたって確認する必要がある.これにより,術後5年目以降も続く患者の生涯に対して,われわれ医療者が行った手術や補助化学療法,放射線治療等が与える長期的な影響を考慮した治療戦略が立てられるべきである.