目的.本研究は,進行非小細胞肺癌患者のサルコペニア併存率および予後との関係を明らかにすることを目的とした.研究計画.IV期進行非小細胞肺癌でEastern Cooperative Oncology Group Performance Status 0~1の患者39例を対象に後方視的に調査した.握力,歩行速度,大腰筋指数より非サルコペニア群,サルコペニア群に分類後サルコペニア群の割合を算出した.その後,サルコペニアの有無,さらにサルコペニアの重症度別で全生存期間(OS)を比較した.結果.サルコペニアの併存率は41%であり,サルコペニア群のOSは非サルコペニア群より有意に不良であった(中央値,11.0ヵ月 vs. 17.9ヵ月,p<0.05).さらにサルコペニアの重症度の増加に伴いOSの低下がみられた(log-rank test for trend,p<0.05).結論.進行非小細胞肺癌では全身状態が良好であってもサルコペニアの併存率は高く,サルコペニアを正確に評価することが予後予測のために必要である.