肺癌
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症例
オシメルチニブ投与中に重篤な左室駆出率低下を合併したEGFR陽性肺腺癌の1例
渡辺 寛仁小暮 啓人沖 昌英
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 63 巻 6 号 p. 864-868

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抄録

背景.オシメルチニブは,第3世代の上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor,EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor,TKI)であり,EGFR変異を有する進行性非小細胞肺癌患者に対して一次治療として推奨される薬剤である.症例.76歳男性,2020年12月に肺腺癌(T2aN3M0/stage IIIB)と診断された.EGFRエクソン19欠失変異が判明し,2021年1月よりオシメルチニブを開始した.同年2月より呼吸困難が出現,4月に心不全と診断され,アゾセミドの内服を開始した.同年7月より心不全が増悪し,8月に循環器内科へ入院となった.昇圧剤や利尿剤による管理により心不全は軽快し,退院となった.退院後はオシメルチニブからゲフィチニブに変更し,肺癌の進行や心不全の再燃は認めていない.結論.オシメルチニブ投与中に駆出率低下を来すことがあるため,特に心疾患既往のある症例においては重篤化するリスクがあるため心不全徴候に注視すべきであると考えた.

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© 2023 日本肺癌学会
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