肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
術中迅速組織診断で扁平上皮癌と鑑別困難であった細気管支腺腫/線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍の1例
吉田 進木村 正樹䑓 勇一渡邉 裕子石川 宏明乾 年秀横山 真子坂本 透
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 64 巻 6 号 p. 848-853

詳細
抄録

背景.細気管支腺腫/線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍(bronchiolar adenoma/ciliated muconodular papillary tumor:BA/CMPT)は末梢肺に発生し線毛細胞と杯細胞が基底細胞と2層性を示す結節性病変で,2021年WHO分類第5版に良性肺腫瘍として追加された.良悪性の特徴を併せ持ち,その分類に関して議論されてきた.今回,扁平上皮癌と鑑別困難であったBA/CMPTを経験したので報告する.症例.症例は74歳女性.2021年4月から気管支喘息とびまん性汎細気管支炎の診断で通院,エリスロマイシンによりCT上の中葉舌区や両下葉の散在性粒状影は軽快,左肺S6末梢結節影が残存した.その後結節影は緩徐に増大,肺癌疑いで2023年5月に胸腔鏡下左肺下葉楔状切除術を行った.術中迅速組織診断でS6胸膜直下の結節性病変の一部は異型高度で扁平上皮癌が強く示唆された.最終的に術後病理診断でBA/CMPTと診断された.結論.BA/CMPTの診療の標準化には組織像や遺伝子変異,治療成績の報告の蓄積が望まれる.

著者関連情報
© 2024 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top