肺癌
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症例
左上葉肺腺癌に対する複合免疫療法中に非特異的所見のため鑑別困難であった血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例
野中 裕斗柳 正和坂上 友梨大納 伸人谷本 昭英上田 和弘
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2024 年 64 巻 6 号 p. 872-877

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抄録

背景.血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma:IVLBCL)は血管,主に毛細血管内腔でリンパ腫細胞が増殖する節外性大細胞型B細胞リンパ腫の稀なタイプである.今回肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)併用薬物療法中に,鑑別困難であったIVLBCLの1例を経験したので報告する.症例.68歳男性.左上葉肺腺癌(cT2a(PL1)N0M1c(骨髄,脾臓)stage IVB)に対する維持療法中に全身倦怠感・呼吸困難感を認め,入院した.甲状腺機能低下などを認めたため,免疫関連副作用(immune-related adverse events:irAE)として加療するも改善しなかった.悪性リンパ腫や骨髄転移の再発を考慮し複数回骨髄穿刺を行うも悪性細胞は認めず,ランダム皮膚生検でIVLBCLの診断を得た.結論.IVLBCLはリンパ節腫大を認めない,特異的所見が乏しい悪性リンパ腫である.ICI投与中にはirAEとの鑑別に挙げ,積極的な検査の追加が重要である.

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© 2024 日本肺癌学会
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