2024 年 37 巻 1 号 p. 118-124
【目的】骨盤臓器脱と直腸脱は成因, 病態に共通点が多い. 腹腔鏡下仙骨腟固定術 (LSC) と直腸前方固定術 (LVR) を併用した15例を報告する. 【方法】当院でLSCを行った1,530例中, LVRを併用した15例を分析した. 【結果】平均年齢82歳, 平均全手術時間233分であった. 便失禁の消失を13例中8例, 便秘の改善を13例中3例に認めた. 周術期死亡, 直腸への縫合糸露出, 化膿性椎体炎を各1例に生じた. 直腸脱の再発を4例で認め, 2例で経肛門的手術を追加した. 骨盤臓器脱の再発3例は無症状で経過観察中である. 【考察】LSCとLVRの併用は, 骨盤臓器脱と直腸脱を一期的に手術できる利点があり, 経肛門的手術後再発にも有用である. 患者の大半が後期高齢者であり, 長時間頭低位の全身麻酔の耐術能を十分検討すべきである.