肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
末梢血リンパ球よりみた肺癌所属リンパ節リンパ球の免疫応答能
小川 純一
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 19 巻 2 号 p. 149-156

詳細
抄録

肺癌患者の全身と局所の免疫能を比較するため, 末梢血と所属リンパ節のリンパ球のPHA反応, T細胞の割合, IgG-Fcリセプター陽性T細胞の割合を検索した.PHA反応では, 術前治療のないstage Iの患者より採取したリンパ節リンパ球が末梢血リンパ球に比し約2倍の反応値を示したが, stageの進展とともに次第に低下し, リンパ節が転移陽性となると末梢血リンパ球の半分以下と著明に減少した.所属リンパ節の位置による変化は, 腫瘍に近接したものほどPHA反応は高く, 遠ざかるにつれ低下していく傾向が見られた.
T細胞の割合では, リンパ節は末梢血リンパ球に比し低値を示したが, PHA反応で見られたごとく, 病巣に近接したリンパ節ほどT細胞の割合は高かった.
IgG-Fcリセプター陽性T細胞の割合は, 末梢血, リンパ節ともに正常人末梢血より増加していたが, リンパ節相互間では有意差を見なかった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top