1986 年 26 巻 3 号 p. 245-258
原発性肺癌患者 (治療前) 71例について好中球superoxide産生能を測定した結果, 病期の進行につれ低下傾向を認めたが, 健常人との間に有意差は認めなかった.化学療法で治療した患者においてCOMP療法でのみ著明な抑制がみられたが, invitroでの検討では低濃度の薬剤は直接の抑制を示さず, 却って亢進を示すものもみられた.また放射線治療患者では著明な上昇がみられ, 放射線肺炎発症例は非発症例と比べ, その上昇に有意な差を認めた.経時的に好中球superoxide産生能を測定することは, 臨床的に癌患者の好中球殺菌能を推測するのに役立つばかりでなく, 放射線肺炎の発症を予測するメルクマールとして有用であると考えられた.