1989 年 29 巻 2 号 p. 199-206
気管支の分岐様式には同大二分岐をする主軸枝と, それら主軸枝の間の肺胞を支配する不同大分岐する娘枝とがあり, 肺門周囲は全て娘枝に支配され, 解剖学的には, いわば末梢肺である.現在まで, 肺門あるいはその近傍の娘枝領域にみられる限局性陰影に注目し検討した報告は少ない.今回, この領域に見られた腫瘤性病変の5症例を経験したので, これらに対する各種画像診断法の有用性を検討した.通常の胸部単純写真や, 断層写真, CTの他では, この領域の腫瘤と気管支鏡で観察しがたい比較的太い気管支の状態を見る上で, 気管支造影が有用であった.