肺癌
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肺癌組織におけるI, III, IVおよびV型コラーゲンの分布と癌細胞のプロコラーゲンIIIペプタイド発現
小野 貞英
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1991 年 31 巻 3 号 p. 319-326

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抄録
肺癌組織においてI, III, IV, V型コラーゲンとプロコラーゲンIIIペプタイド (PIIIP) の存在様式について免疫組織化学的に検討した.肺癌の間質結合織には多量のI型, III型コラーゲンが広く分布し, IV型コラーゲンは血管基底膜と癌組織辺縁部に残存する肺胞基底膜の一部に, またV型コラーゲンは間質の一部に存在するのみであった.III型コラーゲンの前駆体であるPIIIPは, 検索した原発性肺癌の54.2%(83例中45例) で, 癌細胞と一部の線維芽細胞の胞体内に認められ, 肺癌組織間質のIII型コラーゲンは癌細胞自身によっても産生されていることが強く示唆された.特に腺癌では, PIIIP陽性率が80.0%(45例中36例) と他の組織型に比較して高く, さらに増殖様式, 間質量とも関連していた.
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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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