1992 年 32 巻 4 号 p. 489-495
例の肺病変 (原発性肺癌11例, 転移性肺癌1例, 肺膿瘍1例) に対し, 経気管支動脈性にRIを投与し局所血流の評価を行った.10例に99mTcO4-, 3例に99mTc-MAAを投与し, 同一サイズの関心領域を腫瘍部, 縦隔部健常部肺野に設け, RIを約7分間経気管支動脈性に投与し, 20分間RI countの収集を行った.腫瘍部と健常部肺野のRI count比を求めると, 99mTcO4-群で3.8±1.9, 99mTc-MAA群で163±30であった.更に99mTcO4-群ではCDDP-BAIを同時に施行し, その腫瘍縮小効果を検討した.有意差はないが, RIcount比が高いほど腫瘍縮小効果も高い傾向が見られた.今回の検討により腫瘍部に停滞性のある抗癌剤を用いることによって, 通常の動注療法よりも, より高い抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された.