肺癌
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Ki-67を用いた肺癌の増殖能の検討
原 享子
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1993 年 33 巻 2 号 p. 177-186

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抄録

増殖期細胞の核に対するモノクローナル抗体Ki-67を用いて原発性肺癌79例の陽性細胞率growth fraction: GF (%) を算定し, 臨床病理組織学的因子と増殖能との関係を検討した. 肺癌全体のGFは16.18±10.59%(Mean±SD) で, 組織型別では扁平上皮癌 (21.64±8.17%) が腺癌 (11.86±9.60%) より有意に高い増殖能を示した. 小細胞癌のGFは38.31%と高値であった. 扁平上皮癌では組織学的な予後因子とGFとの問に関係がみられなかったが, 腺癌では術後病期, 最大腫瘍径, リンパ節転移, 胸膜浸潤, 血管侵襲, 分化度とGFとの間に相関が認められた. また腺癌では低GF群 (GF<12%) と高GF群 (GF≧12%) の生存率間に有意差が認められ, 組織学的悪性度の一指標として有用であると考えられた.

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