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管野 隆三, 大堀 剛男, 佐藤 佳宏, 矢内 康一, 大石 明雄, 薄場 彰, 井上 仁, 元木 良一, 比佐 純孝, 森谷 浩史
1993 年 33 巻 2 号 p.
155-162
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
1981年から1990年までの10年間に, 教室で経験した原発性肺癌に対する肺摘除術は34例で, 同時期の全肺癌肺切除術197例の17.3%を占めていた. 肺摘除術後合併症は, 不整脈7例 (20.6%), 気管支断端瘻6例 (17.6%), 反回神経麻痺3例 (8.8%), 呼吸不全, 術後胸腔内出血が各2例 (5.9%) であった. 術死は3例, 術死率9.1%であった.
術後合併症の予防には, 術中の注意深い手術操作と, 術後では, 特に気道管理, 循環管理に重点をおく必要があると思われた. また気管支断端瘻の予防策として, 断端の補強被覆操作も考慮すべきと思われた.
術死を含む5年生存率は37.7%であった.遠隔期の死因は, 局所再発3例 (19%), 遠隔転移11例 (69%), 肺炎及び心不全各1例 (6%) であり, 肺摘除術により局所の病巣は比較的良好にコントロールされていることが示唆された. また肺摘除術の心肺不全が直接の死因となった症例は認められなかった.
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岩橋 徳明, 中野 孝司, 藤岡 洋, 相原 信之, 前田 重一郎, 竹中 雅彦, 波田 寿一, 東野 一彌
1993 年 33 巻 2 号 p.
163-168
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
前治療のない肺小細胞癌32例を対象にAVP療法 (ADM 40mg/m
2+VP-16 100mg/m
2×3 days+CDDP 80mg/m
2) を施行した. 評価可能30例中CRは6例 (20.0%), PR18例 (60.0%) で, 奏効率は80.0%(24/30) であった. またLD例のCR率は37.5%(3/8) で, 奏効率は100%(8/8) であり, ED例ではそれぞれ13.6%(3/22), 72.7%(16/22) であった. 生存期間中央値 (MST) に関しては全対象例で39.3週, LD例で60.7週, ED例で30.6週であった. またresponderのMSTは50.4週, non-responderのそれは30.6週であり, 両者間に有意差を認めた (p<0.05). grade3から4の白血球減少が23例 (76.7%) に, 血小板減少が9例 (30.0%) に認められ, grade2から3の食欲低下が25例 (83.3%), 悪心・嘔吐が21例 (70.0%), 脱毛が20例 (66.7%) に認められた. またgrade 2のGOT/GPTの上昇が1例 (3.3%) に, grade 2のクレアチニンの上昇が3例 (10.0%) に認められたが, いずれも特別の治療を要することなく改善した.
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大熨 泰亮, 上岡 博, 木浦 勝行, 小谷 剛士, 田端 雅弘, 松村 正, 玄馬 顕一, 近森 正和, 木村 郁郎, 平木 俊吉
1993 年 33 巻 2 号 p.
169-175
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
多剤併用療法のプロトコールスタディーにエントリーした切除不能の肺非小細胞癌164例を対象に, 治療前の29のパラメーターについて予後因子の解析を行った. x
2検定, generalized Wilcoxon検定による単因子解析では, 肝転移の有無が予後に最も強い影響を及ぼし, 次いで血清アルブミン, 転移臓器の数, CRP, 血清NSE, 病期, 骨転移の有無, コリンエステラーゼ, ヘモグロビン, performance status (PS), 化学療法の種類, 骨髄転移の有無の順に有意性が示された. Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析では, 生存期間に最も大きく寄与するのは血清アルブミンであり, 次いで化学療法の種類, 病期, PS, LDHが生存期間に対して有意の寄与を示すことが確認された. 単因子解析, 多変量解析のいずれにおいても化学療法の種類が生存期間に対して有意の影響を及ぼすことが示されており, 進展期肺非小細胞癌の治療における化学療法の有用性を示唆する所見と考えられる.
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原 享子
1993 年 33 巻 2 号 p.
177-186
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
増殖期細胞の核に対するモノクローナル抗体Ki-67を用いて原発性肺癌79例の陽性細胞率growth fraction: GF (%) を算定し, 臨床病理組織学的因子と増殖能との関係を検討した. 肺癌全体のGFは16.18±10.59%(Mean±SD) で, 組織型別では扁平上皮癌 (21.64±8.17%) が腺癌 (11.86±9.60%) より有意に高い増殖能を示した. 小細胞癌のGFは38.31%と高値であった. 扁平上皮癌では組織学的な予後因子とGFとの問に関係がみられなかったが, 腺癌では術後病期, 最大腫瘍径, リンパ節転移, 胸膜浸潤, 血管侵襲, 分化度とGFとの間に相関が認められた. また腺癌では低GF群 (GF<12%) と高GF群 (GF≧12%) の生存率間に有意差が認められ, 組織学的悪性度の一指標として有用であると考えられた.
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化学療法効果・予後との関係について
山地 康文, 山鳥 一郎, 久保 昭仁, 山岸 善文, 瀧川 圭一, 藤田 次郎, 高原 二郎, 入野 昭三
1993 年 33 巻 2 号 p.
187-193
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺小細胞癌組織亜型の中ではoat cell type (OAT), intermediate cell type (INT) に比し, IASLCで提案されているmixed, 又はそれに類似した概念で, 児玉らの提唱したundifferentiated carcinoma, small cell type (UCS) はその生物学的特性が異なっていることが指摘されている. ここでは近年進歩している化学療法のなかで, 小細胞癌を組織亜型分類することの臨床的有用性を検討した. 組織診で肺小細胞癌と診断され, プラチナ製剤とVP-16を含む化学療法が行われた症例は36例で, その内訳はOAT 13例, INT18例, UCS5例であった. UCS5例に対する効果はCR1例, PR4例で, 生存期間は, 7, 13, 19, 32, 60
+ヵ月であった. OATとINTに比し, UCS又はmixedの化学療法に対する反応性の悪さが, 亜型分類の根拠の一つと考えられていたが, 化学療法の進歩に伴い, 化学療法効果が改善してきており, その亜型分類の有用性については今後さらに検討する必要があると考えられる.
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森川 哲行, 西脇 裕, 児玉 哲郎, 砂倉 瑞良, 林辺 晃, 井田 光雄, 北条 史彦, 阿部 薫, 工藤 翔二, 仁井谷 久暢
1993 年 33 巻 2 号 p.
195-205
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
非切除非小細胞肺癌247例について, 臨床上問題となった放射線治療による急性肺障害症例に関して検討した. 化学療法単独, 放射線治療単独では臨床上問題となった急性肺障害症例は認められなかったが, 化学療法施行後に放射線治療を施行した95例中17例 (18%) に臨床上問題となった急性肺障害症例を認め, 11例 (12%) が死亡した. 今回の検討では放射線治療による急性肺障害の発症を照射前に予測し得ることは困難であったが,(1) 高齢者 (2) 肺線維症などの基礎疾患を有する症例 (3) 放射線治療前に化学療法を2サイクル以上施行された症例 (4) 照射野が対側縦隔まで及んでいた症例に高率に認められた. 化学療法施行後に放射線治療を施行する場合, 適応を慎重に決定すると同時に厳重な経過観察が必要であると考えられた.
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森 裕二, 森 雅樹, 山田 耕三, 福久 健二郎, 鈴木 明
1993 年 33 巻 2 号 p.
207-213
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
診断における縦隔リンパ節の部位命名の一致性を検討するために読影実験を行った. 対象はCT像に示された202部位のリンパ節で, 20名の読影医に肺癌取扱い規約 (改訂第3版) の基準に従って命名させた. この結果, CT診断における縦隔リンパ節部位 (Station No.) の命名における読影者間の一致性は必ずしも良好とは言えなかった. リンパ節部位命名の一致性が不良な原因は, 隣接するStation No.との境界が不明瞭なことと, リンパ節の部位によっては複数のStation No.の規定を満たす場合があることによると考えられた. このため, 現基準にStation No.の境界に関する取り決めや命名に関する優先順位の取り決めを追加すれば, CT診断における縦隔リンパ節の命名一致性を向上させうると考えられた. なお, 今回の結果ではリンパ節の左右の評価に関する一致性は概ね良好であった.
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山田 耕三, 野村 郁男, 松村 正典, 野田 和正, 林 康史, 石橋 信, 亀田 陽一
1993 年 33 巻 2 号 p.
215-222
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺癌における胸壁および縦隔胸膜への浸潤の有無についてのCT診断の精度を高める目的で, 通常の10mm幅のCTで胸膜浸潤が疑われた部位について, 2mm幅のthin-sliced CTを施行し, CT画像とその病理所見をprospectiveに対比検討した. 対象は1992年1月から8月までの問に当センターで開胸手術が施行された原発性肺癌40例のうち術前2週間以内にthin-sliced CTを施行した12症例である. 通常CTは水溶性造影剤100mlを経静脈的に注入しながら撮影した. この際に通常CTにおいて, 病変の胸膜への浸潤が疑われる部位について通常CTを撮影したあと, 造影剤を用いないで2mm幅のthin-sliced CTを撮影した. CTでの胸膜浸潤の判定は胸膜外脂肪層の有無により判定した. 通常CTでは正診率は58%にとどまったが, thin-sliced CTを用いた判定では正診率が83%に改善した. 以上より肺癌の病期診断におけるT因子としての胸膜浸潤について, thin-sliced CTはより正確な診断に寄与する可能性が示唆された.
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斎藤 猛彦, 吉田 知司, 白日 高歩, 玉江 景好, 栗田 幸夫, 松葉 健一, 重松 信昭
1993 年 33 巻 2 号 p.
223-231
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
腫瘍径2cm以下の末梢型小型肺癌切除症例 (R2・MO) で他臓器の重複癌の既往の無い33例 (腺癌26例, 扁平上皮癌3例, 腺扁平上皮癌3例, 小細胞癌1例) を対象に予後の決定に関する組織学的因子 (腫瘍内及び腫瘍辺縁部血管侵襲の有無, 腫瘍径, 組織学的分化度, 腺癌亜型分類, 腺癌線維化巣内の膠原化の程度, 間質反応の程度) を検討した. また年齢, 性別, curabilityを解析因子として加えた. 全例3割面以上標本を作成し, HE染色, Elastica-van Gieson染色を行った. 単変量解析では, 血管侵襲の有無リンパ節侵襲の程度, 腺癌線維化巣内の膠原化の程度及びcurabilityが主な予後決定因子であった (p<0.006). 血管侵襲のないものは, あるものに比べ有意に予後良好で, 全例再発は見られず, 顕著な差を示した.
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一瀬 幸人, 原 信之, 矢野 篤次郎, 麻生 博史, 横山 秀樹, 大田 満夫
1993 年 33 巻 2 号 p.
233-238
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
開胸により発見された癌性胸膜炎 (胸膜播種あるいは癌性胸水) 9例, および手術操作によって癌が散布されたと思われた症例 (胸腔内再発リスク症例) など10例, 計19例に対し, 閉胸前に胸腔内Hypotonic Cisplatin Treatmentを施行した. この処置は, 37℃に加温した蒸留水にシスプラチン濃度が50μg/mlになるようにした低張性溶液で10~15分間, 胸腔内を暴露するものである. 評価可能な癌性胸膜炎8例全例において, 現在までのところ6~29カ月間, 胸膜病変はcontrolされている. また胸腔内再発リスク症例群においても最長31カ月の観察期間中, 胸膜病変の出現はない. この処置により胸膜が破壊される為, 術後排液量が非施行群に比し有意に多い以外は術中, 術後に重篤な合併症はない.
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野中 誠, 門倉 光隆, 高場 利博, 副島 和彦, 山本 正人, 小田切 統二
1993 年 33 巻 2 号 p.
239-245
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は52歳, 男性. 胸背部痛を主訴に紹介医を受診し, 左胸壁腫瘍を指摘され, 生検により肉腫型びまん性胸膜中皮腫と診断された. 急速な腫瘍の増大と胸水貯留を認め, 手術適応外と判断したが, 化学療法を選択した結果, 腫瘍の増大は認められず, 胸水も消失した. 遠隔転移もなく, 合併切除にて摘出可能と判断したことより, 手術目的に当科へ紹介入院となった. 胸膜肺全摘除横隔膜・胸壁合併切除術を施行. 術後胸壁ならびに横隔膜合併切除部位へ放射線照射を加え, 術後12カ月の現在, 再発転移徴候も無く社会復帰している. びまん性胸膜中皮腫の予後は不良であるが, 化学療法や手術療法, 放射線療法を組み合わせて治療に望むことが必要と思われた.
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その臨床経過と本邦13例の臨床的悪性例に関する文献的考察
杉本 幸司, 足立 秀治, 楠本 昌彦, 糸氏 英一郎, 河野 通雄, 大林 千穂
1993 年 33 巻 2 号 p.
247-253
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
臨床的悪性経過を示した粘表皮癌の1例について, 文献的考察を加えて報告する. 症例は66才の男性で, 右下肺野に腫瘤影を認めたが, 縦隔・肺門リンパ節転移がみられたため, 手術不能と考えて放射線治療を行った. しかし治療効果なく, 4カ月後に腫瘍死した. 粘表皮癌は一般に悪性度が低いといわれるが, 自験例は極めて悪性度が高いと思われた. 本邦における臨床的に悪性度の高い粘表皮癌の報告は自験例を含めて13例みられるが, 胸部X線写真や気管支鏡所見では多彩な像を示す傾向がみられた. また, 組織学的悪性度と臨床的悪性度は必ずしも一致しなかった.
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高野 浩昌, 柴 光年, 光永 伸一郎, 藤沢 武彦, 山口 豊, 大和田 英美
1993 年 33 巻 2 号 p.
255-260
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は55歳男性. 肺線維症の診断にて薬剤治療を受けていたが, 喀痰細胞診で扁平上皮癌と診断された. 胸部X線写真では, 右下肺野に輪状網状影を認めたが明らかな腫瘤影は認められなかった. 平成3年2月12日, 右中下葉切除及び右S
2部分切除術を施行した. 切除標本の肉眼所見では, 右S9
~S
10を中心とした蜂窩肺に一致して, 末梢肺組織にびまん性の硬化巣のみが認められ, 肉眼的に原発巣を特定することは困難であった. 病理組織学的所見では, 拡大した気腔とその隔壁の著明な線維化を認め, その構造中に散在性に異型扁平上皮化生と扁平上皮癌組織が存在した. また, その一部には, 両者の移行像も認められた. 特発性問質性肺炎に合併した扁平上皮癌がこのような増殖形態を呈したものは稀であり, multi-focalな癌発生の可能性も示唆される症例と考えられた.
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友田 恒一, 福岡 和也, 濱田 薫, 斎藤 圭一, 鴻池 義純, 成田 亘啓
1993 年 33 巻 2 号 p.
261-267
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は69歳, 男性. 昭和63年右S
3a原発の肺小細胞癌T2N2MO (Stage III A), 縦隔リンパ節腫大による上大静脈 (SVC) 症候群のため化学療法 (CAV) と縦隔への放射線療法とを施行した. SVC症候群は一時軽快したが再燃した. 化学療法, 放射線療法に不応性と考えられ上大静脈狭窄部位にGianturco型expandable metallic stent (EMS) を挿入した. 挿入直後から顔面, 上肢の浮腫, 呼吸困難は消失し退院し, 外来通院可能となった. 1カ月後肺炎で死亡したがこの間EMS留置による副作用はなかった. 剖検では, 肉眼的にはEMS挿入部には血流を妨げる血栓の付着はなく膜様物で被覆されていた. 組織学的にこの膜様物は増生した血管内膜であった. EMSはSVC症候群患者のQOL改善を目的とした諸症状緩和には有用であると考えられた.
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磯辺 真, 山内 祥弘, 枝国 節夫, 篠崎 広嗣, 小松 滋, 掛川 暉夫
1993 年 33 巻 2 号 p.
269-273
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
健診で胸部異常影を指摘され入院. 精査の結果, 肺門リンパ節腫大が疑われたが他臓器に腫瘍病巣を認めず手術を施行した. 手術所見では肺に異常はみられず, 腫瘍は中下葉間の肺門リンパ節であり, 術後の病理組織学的検索で小細胞癌のリンパ節転移の診断が得られた. しかし術後の検索でも他に腫瘍病巣は発見できず原発不明であり, 本症例はきわめて希なTONIMO肺癌と考えられた. 現在術後約7カ月経過しているが再発なく健在である.
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笠島 学, 杉山 茂樹, 北川 正信, 松井 一裕, 山本 恵一, 龍村 俊樹
1993 年 33 巻 2 号 p.
275-279
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
症例は64歳男, 元製鉄所工員. 検診で右上肺野に異常陰影を指摘され, 胸部X線やCTでは胸壁腫瘍が疑われたが, 超音波検査で肺または臓側胸膜由来の腫瘤と判明した. 腫瘤は右肺上葉S
3a外後部胸膜面に突出しており, 少量の肺実質を付して切除した. 組織学的に腫瘤は完全に硝子化しており, 付着部で中皮細胞を巻き込んでいた. 発生部位とその形態から良性限局型線維性中皮腫と考えられるが完全硝子化の報告はない. 本腫瘍の診断において, 超音波検査は胸膜との関係を実時間で描出でき, 有用な検査法であった.
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小高 恵美子, 柴 光年, 山川 久美, 光永 伸一郎, 小川 利隆, 山口 豊
1993 年 33 巻 2 号 p.
281-287
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
肺硬化性血管腫の術後再発例を経験したので報告する. 症例は41歳女性. 胸部X線写真で左上肺野に銭型陰影を指摘され, 経皮的針生検で肺硬化性血管腫と診断された. 腫瘍摘出術が施行され, 摘出標本でも同様の病理診断がなされ悪性所見は認められなかった: 2年後, 再び同部位に銭型陰影が出現し増大傾向を示した. 経皮的針生検により前回と同様の診断が得られたので肺部分切除術が施行された. 初回および再発時の病理組織像を比較検討すると, 両者とも乳頭状増生を示す部分と充実性部分から成る特徴的な組織像を呈しており, 核異型, 分裂等の悪性所見は認められなかった. 再発時の組織像では初回に比して充実性部分の硬化像が少なく胞体の明るい細胞が多く認められた. また, ケラチンおよびサーファクタントアポプロテインを用いた免疫組織化学の結果より, 乳頭状部分を被覆する細胞はII型肺胞上皮細胞への分化を示すものと考えられ, 電子顕微鏡所見でも裏付けられた. 本例は肺硬化性血管腫の病因の解明の一助になるものと考えられる.
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1993 年 33 巻 2 号 p.
288-300
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー
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1993 年 33 巻 2 号 p.
300-304
発行日: 1993/04/20
公開日: 2011/08/10
ジャーナル
フリー