1993 年 33 巻 2 号 p. 207-213
診断における縦隔リンパ節の部位命名の一致性を検討するために読影実験を行った. 対象はCT像に示された202部位のリンパ節で, 20名の読影医に肺癌取扱い規約 (改訂第3版) の基準に従って命名させた. この結果, CT診断における縦隔リンパ節部位 (Station No.) の命名における読影者間の一致性は必ずしも良好とは言えなかった. リンパ節部位命名の一致性が不良な原因は, 隣接するStation No.との境界が不明瞭なことと, リンパ節の部位によっては複数のStation No.の規定を満たす場合があることによると考えられた. このため, 現基準にStation No.の境界に関する取り決めや命名に関する優先順位の取り決めを追加すれば, CT診断における縦隔リンパ節の命名一致性を向上させうると考えられた. なお, 今回の結果ではリンパ節の左右の評価に関する一致性は概ね良好であった.