肺癌
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肺癌患者における化学療法およびrhG-CSFが好中球機能に与える影響について
峯下 昌道宮澤 輝臣土井 正男末井 直山木戸 道郎
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1994 年 34 巻 3 号 p. 393-399

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抄録

肺癌化学療法が好中球機能に与える影響, 血清G-CSF濃度と好中球機能との関係, rhGCSF投与による好中球機能に対する効果について検討した. 15例の肺癌患者において好中球貪食能, 活性酸素産生能は化学療法前に比べ15日目に低下する傾向を示した. 化学療法前の血清G-CSF濃度で分類するとG-CSF非検出群 (G-CSF<30pg/ml, n=8) においては好中球貪食能が有意に低下したがG-CSF検出群 (G-CSF≧30pg/ml, n=5) では貪食能の低下は観察されず, 高濃度の血清G-CSFにより好中球機能の低下が減弱される可能性が示唆された. そのため6例の患者に同内容の化学療法を繰り返し, 2回目に治療後8-20日間rhG-CSFを100μg隔日投与し好中球機能を測定した. 化学療法開始時から15日目までの好中球貪食能はrhG-CSF非投与時では低下したが, rhG-CSF投与時は増強し有意な改善が観察された. 以上の結果よりrhG-CSF投与は肺癌化学療法による好中球機能低下を改善すると考えられた.

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