肺癌
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非小細胞肺癌におけるPCNA発現率と核DNA量のFlow cytometerによる同時定量的解析
森田 克哉林 義信清水 淳三村上 眞也荒能 義彦徳楽 正人渡辺 洋宇
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1994 年 34 巻 4 号 p. 453-459

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抄録

本研究では肺癌新鮮切除標本65例から計273個のサンプルを採取し, PCNAと核DNA量とを同時二重染色を施しフローサイトメーターを用いて定量的解析を行った. これにより今まで困難であったPCNA標識率の客観的評価を可能にし, さらにDNA heterogeneityを示す細胞集団のPCNA標識率も別個に検討可能となった. 核DNA量の評価では, 一症例から測定サンプル数が少ないほどDNA diploidと判定される割合が多かった. PCNA標識率は扁平上皮癌で腫瘍辺縁部で有意に高く, 腺癌では一定した値を示さなかった. 各DIごとのPCNA標識率の測定の結果, 同じDNA ploidy patternを呈していてもPCNA標識率が異なることが明らかとなった. PCNA標識率と核DNA量をフローサイトメーターで同時定量的解析することにより, その生物学的悪1生度の指標としての意義がより明らかになるものと思われた.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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