肺癌
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女性肺癌の臨床的検討
藤内 智秋葉 裕二長内 忍山崎 泰宏中野 均大崎 能伸菊池 健次郎
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1995 年 35 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

1979年から1991年までに入院した女性肺癌患者49例の臨床像を男性のそれと対比して検討した. 組織型は腺癌が83%と最も多く, 腺癌症例の喫煙率は7.3%と男性84.7%に比べて有意に低かった. 発症年齢, 年齢分布に性差はなかった. 女性では, 診断時に自覚症状を欠き, 検診などで撮影された胸部X線写真上の異常で発見される症例が多く, 臨床病期I, II期の比率が男性よりも高かった. 腺癌症例における男女間の予後の差を, IIIb期とIV期を合わせた症例で検討すると, 50%生存期間が男性の3.5ヵ月に対し女性は15ヵ月であり有意に女性の生存期間が長かった. 手術症例, 絶対治癒切除症例の予後は推計学的に有意差をみるには至らないが女性で良好の傾向を示し, 腫瘍生物学的に女性肺癌は悪性度が低いことを示していた.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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