肺癌
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女性肺癌の臨床像
藤兼 俊明藤田 結花辻 忠克松本 博之佐々木 信博清水 哲雄坂井 英一
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1996 年 36 巻 6 号 p. 765-774

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抄録

女性肺癌の臨床像について, とくに喫煙歴に注目して男性と比較検討した. 女性の喫煙率は男性の1/3以下, 平均喫煙指数も1/2以下であった. 女性では男性と比較して腺癌, 無自覚症状者, 臨床病期1期, IV期, PS0, 4が有意に多く, 検診発見者が多い傾向にあった. しかし, 喫煙歴別では, 非喫煙女性で非喫煙男性に比較してPS0が有意に多かったほかに男女間に有意差はなかった. また, 喫煙女性は非喫煙女性と比較し自覚症状発見者, 有自覚症状者が有意に多く, IV期, PS4が多い傾向にあった. 予後は, 全症例およびおもな予後因子で層別しても男女間に有意差はなかったが, 腺癌のIV期では女性の予後が有意に良好であった. 女性肺癌の臨床像の特徴は男性と比較して喫煙歴が少ないことによる影響が大きいと考えられた. また, 喫煙歴の有無は男性と比較して女性でより大きく臨床像に影響を与えていた.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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