1998 年 38 巻 7 号 p. 837-845
原発巣と転移巣間にDNAploidyの点から悪性度に差異があるかを検討する目的で, 原発性肺非小細胞癌の剖検例10例につき, 原発巣と転移巣より各々複数のsamplingを行い, 両者の核DNA量を比較した. 原発巣・転移巣とも10例全てがDNAaneuploidyまたはDNAmultiploidyで, DNA diploidyを呈する腫瘍は存在しなかった. 原発巣と転移巣の両者間のDNAploidy pattern・DNA indexは多数例で一致し, 不一致例 (intertumoral DNAheterogeneity陽性) は3例と少数であった. 今回の結果より原発性肺癌においては, 一旦転移を形成した後, 転移先で新たなクローンを獲得する可能性も否定できないと考えられた.