微小肺癌の臨床病理学的性格を掴むために, 腫瘍最大径10mm以下の末梢部肺癌切除症例39例を検討した. 25例に肺葉切除及びR2郭清を施行したが, n0が24例, n1が1例, 全例pm0であった. 組織型は腺癌33例 (高分化25例, 中分化6例, 低分化2例), カルチノイド5例, 大細胞癌1例であった. 腺癌について, 増殖様式を肺胞被覆型 (被覆型) と肺胞構造破壊型 (破壊型) に, 腫瘍内線維化巣を陰性, 弾性線維型, 膠原線維増生型に, 細胞丈を高群, 中群, 低群に分類し検討した. それぞれ被覆型25例, 破壊型8例, 線維化巣陰性20例, 弾性線維型7例, 膠原線維増生型6例, 高群3例, 中群9例, 低群21例と, 高分化, 被覆型, 線維化巣陰性, 低群が多いことが特徴的であった. 術後, 肋骨転移1例 (破壊型腺癌, 担癌生存), 肝転移1例 (カルチノイド, 原病死), 他病死1例が認められ, 他は非再発健存である. 末梢部微小肺癌は一般に予後良好であるが, 組織学的に進行例と思われる症例もあり, 縮小手術の適応には, 詳細な組織学的検討を要すると思われた.
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