肺癌
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二次性尿崩症をきたしたPTHrP産生肺癌の1例
田村 和貴中村 昭博松尾 聡伊藤 重彦
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2002 年 42 巻 3 号 p. 209-213

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抄録

背景. 肺癌患者ではしばしば高カルシウム (Ca) 血症を合併し, その原因として副甲状腺ホルモン関連蛋白 (PTHrP) の関与が指摘されている. 今回我々はPTHrP産生により高Ca血症を生じ二次性尿崩症をきたした肺癌の1例を経験した. 症例. 症例は68歳, 男性. 平成11年5月, 咳嗽と胸部異常陰影の精査のため入院し左下葉進行肺癌と診断された. 化学放射線療法施行後の平成12年11月, 全身状態悪化のため再入院となった. 胸部CT上, 腫瘍の再増大と左無気肺を認めたが, 骨や脳転移の所見はなかった. 入院中, 多飲・多尿出現し高Ca血症と血清PTHrP-C端の上昇を認めたことから, humoral hypercalcemia of malignancyによる二次性尿崩症と考えられた. パミドロン酸ニナトリウム30mgにて高Ca血症と多尿は速やかに改善したが, 多発肺転移から呼吸不全を生じ死亡した. 腫瘍組織の免疫組織学的検討では腫瘍細胞の細胞質にPTHrP抗原の発現を認めた. 結論.二次性尿崩症を生じたPTHrP産生肺癌の1例を経験した. 心肺機能低下例での高Ca血症治療においてパミドロン酸ニナトリウムは単剤でも有効であった.

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© 特定非営利活動法人 日本肺癌学会
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